本日の『病気について知ってもらいたい』はウサギのメスに多い『子宮疾患』です🐰

 ウサギの可愛さと室内で飼えるという点から、最近ペットとして飼育されるウサギが非常に増えています。それに伴ってウサギの平均寿命も伸びており、年齢と共に色々な病気にかかる子が増えてきました。その中でもメスの生殖器疾患は多く、特に子宮の病気は非常によく診るようになりました。「ウサギが10歳齢まで長生きしたらほとんど100%近く子宮の病気になる」という説があるぐらい、ウサギでは子宮の病気は一般的です。

 ウサギでは犬猫ほど避妊手術が一般的には行われていないのが現状で、そのせいで子宮疾患の発生率が高いとも考えられます。子宮疾患は悪性の病気であることが多く、子宮疾患が原因で命を落とす子も多くいます。そのため、ウサギでも避妊手術をしっかりとしてあげることが可愛いペットを長生きさせることにつながると考えられます。

 

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この病気の飼い主様のチェックポイント
 ①オシッコの色が赤くなっていませんか?

 ②乳腺(おっぱい)が張っていませんか?
 ③お腹が膨らんできてはいませんか?

食欲に関しては、初期の子宮疾患では低下していないことが多いです。病気が進行することで貧血になったり、大きくなった子宮が様々な臓器を圧迫することで食欲が低下します。

原因:ウサギに子宮疾患が多いことのはっきりとした原因は分かっておらず、ウサギの繁殖の特徴が関与しているのではないかと推測されます。

症状:飼い主様が1番分かりやすい症状は血尿だと思います。普段からオシッコをしっかりと観察しておいていただき、オシッコの色がいつもと違うな、と思った時には可能であればそのオシッコを持ってご来院ください。

診断:似たような症状を起こす病気はいくつかあるため、まずは検査が必要です。血液検査・レントゲン検査がまず基本的な検査です。その他、尿検査や超音波検査なども行うことがあります。

治療:子宮に異常があった際には手術しか治療法はありません。卵巣と子宮を摘出する手術を行います。手術をする際には全身麻酔下で行いますが、ウサギは犬や猫に比べて麻酔のリスクが高く、食欲があるような初期の状態でも手術後に2%ほどの患者は亡くなるというデータがあります。2%ということは50羽に1羽が亡くなる計算です。また、子宮の異常がガンであった場合には、手術を乗り越えても転移をしてしまうことで命を落とすこともあります😭

予防:この子宮の病気の予防に関しては、上記したように若い時期に行う避妊手術しかありません。しかし、若い時期であっても全身麻酔には多少のリスクはあるため、悩ましいところではあります。最近では、ウサギの麻酔のリスクを下げるためにv-gelという商品が販売されており、こちらを使用することでウサギの麻酔を安定して行いやすくなりました。
当院でもv-gelは導入しておりますので、ウサギのメスを飼われている飼い主様は、1度避妊手術を検討されては如何でしょうか?☺️