院長の『病気について知ってもらいたい』の第3回は、『ウサギの不正咬合』について書かせていただきます!
ウサギは室内飼いが出来て散歩の必要もなく、大きな声で鳴かないということもあって、最近飼育頭数が増えています🐰犬や猫と違って完全な草食動物であり、歯が一生伸び続けるという特徴を持っています。それらの特徴のせいで起きる代表的な病気の1つが今回の『不正咬合』です。以下に不正咬合の写真を載せます。
上の画像が前歯の不正咬合、下の画像が奥歯の不正咬合によって変な風に伸びてしまった歯の画像です。
想像してみてください…我々が舌やほっぺを誤って噛んでしまっただけでも痛くて気分が落ち込むのに、ウサギの不正咬合では何もしていなくても歯が舌やほっぺに突き刺さるのです…😭前歯に至っては、伸びすぎると巻いてきてしまい、自らの口の中に刺さるようになったりもします💦
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この病気の飼い主様のチェックポイント
①最近ヨダレで口周りがよく濡れていたり、手で顔を洗うように口をこすっていませんか?
②食べに行くのに、いざ食べようとすると食べないということはありませんか?
③何も食べていないのに、よく口をクチャクチャさせていませんか?
④涙や目ヤニが以前よりも多くなっていませんか?
原因:本来ウサギは草食動物であり、主な食餌は乾草などの高繊維質の物です。これらをしっかりと食べていれば、食べる際にすりつぶすように咀嚼することで歯も削れるため、不正咬合はほとんど起こりません。しかし、ペレットや穀物、種子類などを多くあげていると、これらはすりつぶす必要がないために歯が削れずに伸びてきてしまいます。またそれ以外にも、ケージの金網など硬すぎるものをかじる癖があると歯が曲がってしまい、不正咬合に進行するケースもあります。
症状:飼い主様が気付きやすいのは食欲不振と、それに伴う便の量の減少や大きさが小さくなることだと思います。不正咬合ではこれらに加えて、上記のチェックポイントのような症状が見られることが多いです。
診断:前歯であれば唇を少しめくるだけでも分かりますし、ひどければ外から見るだけでも分かります。しかし奥歯の不正咬合は外からでは分からず、なんとか口の中をチェックする必要があります。器具を使って覗いたり、レントゲン検査を併用したりして確認をしますが、1番奥の歯までしっかりとチェックするためには麻酔をかけて口をしっかりと開くのが1番確実です。そのため当院では不正咬合を疑う省令には麻酔をかけてのチェックをオススメしています。
治療:長くなってしまった歯は切らないと治りません。前歯は麻酔下でマイクロエンジンという電動ノコギリのような物で切ります。その方がキレイに切れるため、次回に歯を切るまでの間隔を長く出来ます。また、奥歯に関してもキレイに切るためには麻酔下の方が安全なため、当院では麻酔下での歯切りを主に行っております。
歯の不正咬合は1度なってしまうとなかなか完治はしないため、生涯に渡って定期的に歯切りを行う必要があります。したがって『不正咬合にならせないこと』が極めて重要だと思いますが、そのための正しい食生活が広まっていない現状があります。当院ではウサギの食餌指導も行っておりますので、何かお困りの際はご来院ください😁