院長の『病気について知ってもらいたい』の第2回は、『猫下部尿路疾患』と言われる病気で寒い時期に猫に多くなるオシッコ関連の病気です!頻尿・血尿・排尿困難(オシッコが出せない)などの症状が特徴で、重症化すると命に関わることもある大変恐い病気です。

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この病気の飼い主様のチェックポイント
 ①トイレに頻繁に出入りしていませんか?
 ②トイレに行くのにオシッコが出ていない or 少ししか出ないということはありませんか?
 ③オシッコを出す時に痛そうに鳴いたりしていませんか?
 ④特に雄猫♂で重症化することが多いので、上記の3つの症状が当てはまるなら要注意!

猫下部尿路疾患とは、膀胱炎や尿路結石、細菌性尿路感染、腫瘍などによって引き起こされる症状(頻尿や血尿、排尿困難)をまとめたもので、特定の疾患名を指しているものではありません。

原因:この病気では原因を特定することが難しく、60%以上は原因が特定できないと言われています。原因が特定出来ないものは特発生膀胱炎と呼ばれます。原因が特定出来るものでは、10才以上の老齢猫、腎臓病や糖尿病があるような猫は細菌感染を起こしやすくなるため、そのために膀胱炎を起こすことがあります。

症状:代表的な症状は頻尿です。何度もトイレを出たり入ったりします。飼い主様の中には便秘と勘違いされる方もいらっしゃいます。その他には血尿、トイレではない場所で排尿する、排尿時に痛がって鳴く、外陰部を過剰に舐めるといった行動が見られます。完全にオシッコを出せなくなって24時間以上経過すると、上記の症状に加えて、食欲不振・嘔吐・元気消失といった症状が現れてきて、明らかに調子が悪くなってきます。48時間以上オシッコを出せないと命の危険性も出てきます。

診断:オシッコの異常が見られる場合には、まずは尿検査が必要です。尿検査をすることで血尿が出ているかどうか、尿の中に結石の元となる結晶があるかどうか、細菌が認められるかどうかが分かります。その他に血液検査、レントゲン検査、超音波検査を行って全身状態を確認します。

治療:原因と病状により治療は異なります。重症化しており、命の危険性もある場合には数日入院することもあります。最も多い特発生膀胱炎では治療、再発予防の両方で以下のようなことが大切と言われています🐈
 ①療法食を用いた食事療法や十分な水分摂取
 ②トイレを常に清潔にして快適な排尿をさせる
 ③肥満改善
 ④ストレスを出来るだけ解消するような生活環境の改善
ペットショップでも『猫のおしっこの病気に配慮しています』というフードは売られていますが、ペットショップでは療法食と一般のフードが混在していることが多いため、特に病気の症状が出た子は動物病院で処方されるフードにされることをオススメします。