我々が動物病院で診察をしていく上で、患者であるペットと普段一緒にいる飼い主様の観察力というものは大変重要なポイントです☝️それは言葉を話せないペットの代わりに体調不良の具体的な症状に気付き、我々獣医師に伝えるという大事な仕事は飼い主様にしか出来ないからです。ブログにて少しずつ病気について紹介していくことで、飼い主様が病気を観察する際に診るポイントの確認になったり、知らない病気について知ることで今まで気づかなかった体調不良に気づくようになってくだされば幸いです🎶

では第1回の今回は、犬の僧帽弁閉鎖不全症について書かせていただきたいと思います🐶
小型犬に非常に多い病気で、院長が個人的に興味を持っている循環器と言われる分野の病気です!

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この病気の飼い主様のチェックポイント
 ①以前に比べて咳が増えていませんか?(興奮した時や運動時にむせたようになりませんか?)
 ②ゆっくりとくつろいでいるのに呼吸が速くありませんか?(1分間に40回以上呼吸をしていると速いです)
 ③以前に比べて走らなくなった、散歩を嫌がる、などはありませんか?

僧帽弁閉鎖不全症とは、心臓の中で血液が一方向に流れるために逆流を防いでいる『弁』と言われる蓋が、上手く閉まらなくなる病気です。

原因:いくつかありますが、ほとんどは老化によるもので、多くは老齢の小型犬に起こります。
   しかし、遺伝的な要因もあり、キャバリア・キング・チャールズ・スパニエルやマルチーズは5歳前後からこの
   病気になり始める子が多いと言われています。

症状:代表的な症状はです。喉に物が使えたような咳が初期の症状として出てくることが多いです。
   病気が進行してくると、ゆっくりくつろいでいる時の呼吸数が多かったり、運動していてもすぐにバテてしまった
   り、急に失神してしまうなどの症状が出てきます。

診断:病気の早期診断にはまずは聴診が大事です。老齢の犬の聴診で心臓に雑音が認められた場合にまず僧帽弁閉鎖不全
   症を疑い、主に血液検査・レントゲン検査・心臓のエコー検査・心電図検査をして診断をします。

治療:基本的に心臓は一度病気になると治らないため、病気の進行具合によって使用する薬の種類や量が異なってきます
   が薬を生涯飲ませて症状を緩和していくという内科療法が主に行われます。その際には血管拡張薬や強心剤、利尿
   剤などが使われます。内科療法を開始した後は、定期的な検査をしていき、その結果と症状に応じて薬の調整をし
   ていきます💊
   また、最近は『心臓の手術をして根本的に病気を治す』という方法も出来てきましたが、手術を行える病院がもの
   すごく限られることと、費用が非常に高額なためにまだ一般的でありません。

この病気にかかる犬は非常に多いですが、薬で上手くコントロールして付き合っていけば充分に長生きの出来る病気です。しかし僧帽弁閉鎖不全症は少しずつ進行していくことが多く、薬を飲んでいても急変することもある病気でもあります。飼い主様に病気を知っていただくと共に、注意すべき点をしっかりとご理解いただき、愛するペットの体調の変化を早めにキャッチしていただくことが大事な病気ですので、参考にしてください。